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地域の魅力を発信する術を学ぶ ~滋賀県東近江市での実践~【平岡俊一】

2021年08月02日(月) 11:33更新

今回は、私が担当しているフィールドワーク系の科目での実践について紹介させていただきます。

環境科学部の開講科目「環境フィールドワーク3」は複数のクラスに分かれており、私は「地域の魅力を発信するローカル・メディアの取材・編集術」と題したクラスを2020年度から開講しています。このクラスは、地域の多様な魅力を発信していく術を身につけることを目的に、近年注目が高まっているローカル・メディア(地域密着型の各種のメディア媒体)の取材・編集作業に実際に参加し、学んでいくというものです。

「にじまち」の表紙 

具体的には、滋賀県東近江市に拠点を置くまちづくり中間支援組織「NPO法人まちづくりネット東近江」が発行している地域情報誌「にじまち」(同市内の市民活動や地域活性化活動にかかわる動き、団体・人物などを紹介)の編集チームに受講学生が参加させていただき、同誌の取材・編集に関する一連の作業に携わっています(20年度は4名が参加)。講義の流れは、①まちづくりネット東近江のスタッフから東近江市の概要や地域情報誌の取材・編集に関する基礎的技術などのレクチャーを受ける、②東近江市内のまちづくり活動の現場を巡るフィールドワークを複数回行う、③編集会議に参加して取材テーマや役割分担などを決定する、④担当する取材対象者を訪問、インタビューを行う、⑤記事を執筆する、⑥担当誌面のデザインを行う、となっています。

  奥永源寺地区でのフィールドワーク

起業家へのインタビュー

「にじまち」は年4回発行されており、20年度はそのうち2号分(冬号・春号)の作成に参加させていただきました。冬号のテーマは、地域活性化活動が近年活発化している同市奥永源寺地区の魅力を紹介するというもので、学生たちは同地区で地域活性化に取り組む若手起業家の方々を対象にインタビュー等の取材を行いました。春号では、地区を限定せず、学生たちが興味をもったまちづくり活動団体を取材に行くというスタイルをとりました。一連の取材・編集活動においてはいろいろな苦労があったものの、無事に学生全員の記事がにじまちに掲載され、日の目を見ることができました。

学生が作成した誌面(1)

学生が作成した誌面(2)

SNSの普及などにより、地域の魅力や情報発信の方法は多様化し、手軽にもなってきました。そんな中で、地域情報誌の作成は比較的多くの労力を必要とするものと言えます。丁寧に取材をし、現場の雰囲気が伝わる写真を撮影、簡潔で読みやすい記事原稿を執筆した上で何度も推敲を重ね、さらに読者の目を惹くデザインにしていくといった作業を行うことが求められます。誰でも気軽に情報発信ができるようになった今日だからこそ、情報発信の「プロ」たちがいかに時間と労力をかけてメディア媒体を作成しているのか知ることにはいろいろな意義があると考えています。また、取材・撮影・記事執筆・デザインなど、情報発信や広報などに必要な総合的な技術を身に着けておくことは、今後の就職や地域等での活動に関わるようになる上ではもちろんのこと、卒業論文執筆に向けた研究を進めていく上でも役に立つものになるはずです。

学生たちが書いた記事については、同誌が配布されている東近江市内での反応も上々のようで、いつもよりも冊子がなくなるペースが早いとのことです。今年度は、新たな受講学生(5名)に加えて昨年度から引き続き編集チームに参加してくれている学生もおり、より充実した陣容で準備作業を進めているところです。

※「にじまち」の記事は、まちづくりネット東近江のウェブページで閲覧することが可能です
http://e-ohminet.com/activity/nijimachi-sokora/