ごみ処理施設の立地・建設(その5)【金谷健】

2019年11月05日(火) 11:32更新

前回(2018年11月)の私のコラム
ごみ処理施設の立地・建設(その4)http://depp-usp.com/archives/4182
では、滋賀県立大学の所在地である滋賀県彦根市を含む、彦根愛知犬上地域(彦根市、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町;湖東地域とも言います)での新規ごみ処理施設の立地・建設について、2017年10月~2018年10月までの状況を紹介しました。

前回コラムの末尾に私は、

以上のような状況を踏まえますと、組合(管理者及び事務局)が現在進めている、「愛荘町竹原区」での新規ごみ処理施設の立地・建設については、組合がこれまで繰り返しされてきた「丁寧な説明」の、今後のさらなる繰り返しで、組合議会・各市町議会や住民の皆さんの「理解」を得られる可能性は、かなり低いようです。今後の動向が、注目されます。

と書きました。なお上記の「組合」とは、新規ごみ処理施設の立地・建設の主体である彦根愛知犬上広域行政組合のことです。

今回のコラムは、その後の状況紹介です。

組合HP http://www.genaiken-kouiki.jp/ に2019年6月5日掲載の「湖東地域(彦根愛知犬上地域)の新ごみ処理施設建設に向けてのこれまでの経緯」によると、

2018年11月~2019年3月 施設建設に係る当組合管理者会と当組合議会運営代表者との意見交換会開催(全6回開催)
2019年2月  当組合議会において「愛荘町竹原区の白紙撤回を求める決議案」が全会一致で可決。
2019年4月  建設候補地を竹原区1か所に決定したことを白紙撤回。
同      当初の応募地5地区に対し、候補地再選定の方針、今後の進め方等に係る合同説明会を実施し、候補地名の公開を前提とする再選定への参加意向を確認した結果、彦根市からは、原町、西清崎町、下西川町、愛荘町からは竹原区の4地区が再応募。

とのことです。予想通り、組合は、「竹原区」での新規ごみ処理施設の立地・建設を白紙撤回せざるを得なくなりました。そして、当初の応募地5地区に対し候補地再選定をする方針に転換したわけです。候補地名の公開を前提とする再選定への参加には、上記の4地区(下記地図参照)が応じました。

その後、組合は、上記の4地区を踏まえた住民説明会が、稲枝東・稲枝北学区住民対象に2019年5月25日に、佐和山学区住民対象に5月29日に、旭森学区住民対象に5月30日に、鳥居本学区住民対象に6月8日に、秦荘東学区住民対象に6月8日に、亀山・城陽・若葉学区住民対象に6月9日に、それぞれ開催されました。説明会での質疑の詳細は、組合HPの以下のサイトに公開されています。

http://www.genaiken-kouiki.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=546

また、組合は、「彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備に関する住民アンケート」を、彦根市・愛荘町・豊郷町・甲良町・多賀町の全域から無作為抽出された7000人(建設候補地以外に住む18歳以上)を対象に、2019年6月上旬から6月24日まで郵送法で実施しました。なお、このアンケートは、「4つの建設候補地から、改めて最も適切な建設候補地を選定するにあたり、圏域住民のみなさまが新ごみ処理施設整備において重視・期待される事項を参考とするため」に実施されたとのことです。回収率は32.8%でした。アンケート結果は、組合HPの以下のサイトに公開されています。

http://www.genaiken-kouiki.jp/contents_detail.php?co=new&frmId=555

「新しいごみ処理施設の整備において、あなたは何を重視・期待しますか。あなたの考えに合うもののうち上位3つに○をつけてください。」という質問(=実施目的に直接対応した質問;金谷注)への回答割合の上位は、以下の通りでした(選択肢は15項目+その他)。

①生活環境の保全(施設の稼働による排ガス・臭気・騒音・振動・排水の影響が小さいこと、ごみ収集運搬車両の往来による騒音・振動等の影響が小さいこと等)60.8%
②循環型社会への寄与(ごみの資源化・エネルギーの有効利用が可能な施設であること等)46.2%
③安定稼働の確保(自然災害で被害が出にくく、災害時にもごみ処理を継続できること等)28.7%
④利便性(ごみの持ち込みがしやすいこと等)26.3%
⑤生活環境との区分(住宅や教育施設・医療福祉施設から離れた場所であること等)24.9%
⑥経済性(敷地造成や道路整備、用地取得等、施設建設にかかるコストが小さいこと、収集運搬や施設運転などごみ処理コストが小さいこと、売電収入が大きいこと等)17.3%
⑦良好な交通環境の維持(ごみ収集運搬車両の往来により渋滞を生じさせないこと等)16.5%

そして、2019年11月1日に組合HPに公表された「彦根愛知犬上地域ごみ処理施設建設候補地の決定について」

https://www.genaiken-kouiki.jp/contents_detail.php?co=new&frmId=479
によると、圏域全体としての収集運搬コスト、生活環境の保全、生活環境との区分、利便性といった点を重視するお声が多いということ、建設用地の購入可能性や災害リスクに対する技術的な対応の可能性等を検討したうえで、用地取得費、造成費、道路整備費などの初期整備費総額は少し高くなるものの、1市4町の30年間の収集運搬コストが最も安価と見込まれ、長期的視野によるトータルコストが最も安価となると判断した結果、このたび「彦根市西清崎町」を最終的な建設候補地に決定し、当該候補地での施設建設を前提とした「新ごみ処理施設整備基本計画」について、当組合議会10月臨時会(10月21日開催)でご承認いただくことができました。

とのことです。上記の候補地②について、議会承認が得られたということで、新規ごみ処理施設の立地・建設にむけて、一歩前進したと言えます。

なお、「彦根愛知犬上地域 新ごみ処理施設整備基本計画」
https://www.genaiken-kouiki.jp/contents_detail.php?co=new&frmId=508に記載されているように、「ごみ搬入出ルートの検討」や「災害時の被害軽減」や「地元住民への配慮」など、今後検討すべき事項が多数あります。
組合は2027年度稼働開始を目指しているとのことですが、今後、関係自治会・土地所有者・耕作者・関係行政機関などの各関係者と十分に調整を行い、事業を円滑かつ慎重に進めてほしいと考えます。