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学科卒業生の活躍-民間企業OB・OG-【高橋卓也】

2022年08月22日(月) 10:00更新

本学科の1回生向けの授業「政策形成施設演習」は学科教員一人一人が各回を担当するオムニバス授業です。環境の政策や計画に関連した現場を見学したり、関係者のナマのお話をうかがったりします。私は、例年、民間企業に就職したOB・OGの回を担当しております。昨年度2021年度は、3名のOB・OGをお招きしました。
武藤健司さんは、本学科卒業後、株式会社地域計画建築研究所(アルパック)で働いておられます。全国のむらおこし、まちづくりに活躍されています。地域と伴走するコンサルタントとして、どういったことを心掛けているのかお話いただきました。

武藤さんが最後にひとこと

肥田真梨子さんは、本学科卒業後、株式会社堀場エステックに就職され、サスティナビリティ推進部門で働いておられます。同社の最先端マスフローコントローラ(ガス流量を超精密に制御)をわざわざ京都から彦根に運んで実演をしていただきました。2021年、2022年時点で不足している半導体部品製造には無くてはならない装置とのことです。

肥田さんによる機器のデモ

市田亘さんは、本学科を卒業し本学大学院博士前期課程を修了後、西垣林業株式会社に就職されました。山の伐採現場から丸太の市売り、製材、建築までについて動画も利用してご説明、日本林業の将来性を熱く語っていただきました。

市田さんから日本林業について

この回では、お仕事の話だけではなく、学生時代に何をしたかも率直に語っていただきました。勉強、サークル、インターン、就職活動、卒業研究と盛りだくさんで、1回生は圧倒されたかもしれません。
ここからは学生の感想を紹介します。いろいろと感じ、考えてもらえたようです。

(武藤さんの講義について)
 最も印象に残ったことは、「社会とのつながり」を今のうちから作っておくことである。例えば、NPO法人やボランティアの活動に参加するなど、社会とのつながりを今のうちから作り、社会に出たあとも頼れる存在をつくることが,進路決めや将来の夢に関わってくることが印象深かった。
 武藤さんのお話の中で印象に残ったことは「時間を持て余しているなら勉強をしよう」というメッセージである。武藤さんは技術士、野菜ソムリエ、eco検定、3R・低炭素社会検定など様々な資格を持っていらっしゃった。勉強に専念できる身分である大学生の時こそ、多くの知識を身につけることを大切に過ごさなければならないと改めて思った。私もeco検定や3R・低炭素社会検定に挑戦してみようと思う。
(肥田さんの講義について)
 印象に残ったのは、大学生時代に様々な経験をされていて、それが将来に生かされていることである。全国大学生環境活動コンテストで優勝し、日本一になられたことや、環境大臣賞を受賞されたことに特に驚かされた。たくさんの経験から自分の得意なこと・苦手なことを知り、社会では自分の得意を生かし、苦手をチームでカバーされているので怖いものなしだと感じた。とても明るい方なので、「おもしろおかしく」エキサイティングに取り組むことを社是にしている堀場製作所はぴったりだと感じた。
 最も印象的だったのは、就職活動に向けたコミュニケーション能力向上のために、成功・失敗体験を1つずつ話せるようになると良いということだ。私はまだ喋ることに自信がないため、ファシリテーション技法・演習の授業で向上させていきたいと感じた。
(市田さんの講義について)
 セルロースナノファイバー(※木材からの新素材[高橋注])を使ってできた車があることに驚きました。車は金属ででしかできないと思っていたけど技術の進歩によって木が金属を超えるような強度を持てることに驚きました。講義からも市田さんは本当に木が好きなのだということがわかりました。面白かったです。木の競りの動画は衝撃的でした。木も魚みたいにあんな感じで競りに出されているのは初めて知ったので面白かったです。
 印象に残っていることは、社会人になっても様々なことを学び続けていることだ。会社の中で配属される部署が変わるたびに新しい知識をたくさん覚えなければならないのはとても大変で苦しいことだと思う。しかし講義の中で市田さんが「勉強は人生に潤いを与える」とおっしゃっていて、学び続けるのは大切なことなのだと再確認できた。

先輩の講義に加えて、それぞれの先輩からの「お題」について考えてもらうワークショップも実施しました。自治体の観光基本計画の策定支援、社内各部署へのSDGsの導入、木材の新製品開発といったテーマです。各講師の温かく的確な指導もあって、それぞれの会社の社員になりきる、良い体験ができたと思います。
以前、私はこのコラムで江戸時代に近江商人が現在の滋賀県から続々と輩出されたのは、先輩たちのロールモデル(お手本)の役割が大きかったのでは、という推測について書かせていただきました(なぜ近江商人は続出したのか?~ロールモデルの大切さ~【高橋卓也】 )。この機会がそのようなロールモデルとの出会いになればと願っております。