人は侵略的外来生物との戦いに勝てるか?【上河原献二】

2018年10月04日(木) 02:08更新

侵略的外来生物として、皆さんはどのようなものをご存知でしょうか。琵琶湖では、オオバナミズキンバイという中南米原産の黄色い花をつける水陸両生の草が繁茂して、船溜まりや水路を埋めてしまうといった問題を引き起こしていますが、最近では千葉県の手賀沼などでも繁茂して、その管理が課題になっています。

そのため今年(2018年)9月、私たちは、そのオオバナミズキンバイ管理の様子を調べに、イギリス南部に行ってきました。大西洋航路で栄えた港町サウサンプトンに連泊して、そこから3カ所の現場を見てきました。

外来生物の侵入は、「戦い」にたとえられてきました。しかし注意しなければならないのは、人間は、すべての外来生物と戦わなければならない訳ではないということです。たとえば、日本の農産物のほとんどは外来です。米・麦・サツマイモ・トマト・キャベツみなそうです。しかし一部にコントロール不能なほど増えて人間社会と生態系に深刻な悪影響をもたらす「侵略的」な外来種があって、それと人間社会は戦うことになるのです。さて、人間社会は侵略的外来生物との戦いに勝てるのでしょうか、あるいはある人の言うように戦うだけ無駄なのでしょうか?

オオバナミズキンバイは、日本だけではなく、フランス・イタリア・ベルギー・オランダ・アメリカなどでも問題を引き起こしている強者なのですが、イギリスはそれとの戦いで勝利に向かって進んでいます。イングランド環境庁によると、イギリスでは1998年に始めて野外定着が確認されて、2017年末までに計33ヶ所で確認されましたが、そのうち14ケ所で局地根絶に成功しています。イングランド環境庁でオオバナミズキンバイ対策の調整を担当している方は、イギリス全土で根絶できると自信を持っています。

今回調査した二地点、つまり、ワイト島(ハンプシャー州の保養地として有名な島)内の農地のため池とブリアムーア湿地(ハンプシャー州のニューフォレスト国立公園の西縁)では、既に2~3年前からごく小さな個体がわずかに確認されるまでに抑え込まれており、私たちの訪問した時にはそれらすら目視できませんでした。もう一カ所のドーセット州ウェストベイ(小さな港のある海岸の観光地)の用水路については、イングランドの中でも管理が最も難しい地点と聞いていましたが、私たちが訪問した際には、小さな個体を数えるほど確認できただけでした。それらの地点では、機械や除草剤を用いた除去に加えて、何年も継続して定期的な手作業による除去が行われています。

「早い段階で適切な技術を用いて継続的・定期的な除去を行えば、オオバナミズキンバイのような強者も局地根絶できる。」というのが、イングランドから学ぶ教訓です。

今回も現地で多くの方々に親切にしていただきました。記して感謝申し上げます。

ウェストベイ の町(2018年9月10日)

ウェストベイの用水路に残っていた小さな個体(写真中央)(2018年9月10日)

ワイト島のため池(2018年9月11日)

ブリアムーア湿地ラウンド池(2018年9月13日)