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街歩きから見た函館【和田有朗】

2017年04月07日(金) 02:44更新

半年程前、北海道の函館に行きました。函館は、1859年に横浜・長崎と並び日本で初めて国際貿易港として外国との交易を始め、西洋の影響を受けた建物や街並みが多く残っています。以来、古くより北海道の玄関口として栄え、今でも大正・昭和時代の面影を残すレトロな街です。現在では北海道を代表する観光都市として、港や教会・函館山などの名所・観光スポット、見どころがたくさんあり、人気を集めています。

まず函館山の近くに、金森赤レンガ倉庫と呼ばれる赤レンガ倉庫群があります。大分県出身の実業家、初代渡邉熊四郎が明治時代に開業した「金森洋物店」が起源だそうです。現在はショッピングモールやビアホール・レストランが入居する、函館の観光名所となっており、現在倉庫群が位置しているのは、幕末に造船所や外国人居留地があった埋立地です。この地域一帯は重要伝統的建造物群保存地区、街並みは北海道遺産に選定されています。その中に、「BAYはこだて」と呼ばれるところがあり、明治十五年頃に築造された運河が残っています。海からの風を感じながら散策が楽しめる広場には、金森赤レンガ倉庫の屋号をモチーフとしたモニュメントがあります。このモニュメントからはイギリス式とフランス式のレンガの積み方の違いを学ぶことができます。この違いがわかるようになれば自分でも両者を見分けることができ、レンガの建造物をまた違った角度から楽しむことができます。ちなみにBAYはこだてはフランス式、金森赤レンガ倉庫はイギリス式の積み方で造られています。

IMG_2451赤レンガ倉庫1

赤レンガ倉庫

赤レンガ倉庫が立ち並ぶウォーターフロントの先を道なりに進むと、函館山へ導いてくれるのが「八幡坂」です。突き当たりには、函館西高校があります。その真下からの眺めが絶景で、CMやドラマ等でのロケ地としても評判となっています。坂名は、河野政通の館跡地(現在の元町公園付近)から移設された函館八幡宮があったことに由来すると伝えられています。大火の被害を受けて1880(明治13)年に現在の谷地頭町に移ったものの、その後も坂の名称は残されているそうです。

かつては湾曲していたそうですが、今は海に向かって真っすぐに函館湾へと伸びた270メートルの一本道で美しい道となっています。真正面に函館港や船も見ることができ、函館で1、2を争う人気の高い坂です。

八幡坂

八幡坂

 

坂の上には「函館元町」地区があり、この地区には、教会がたくさんあります。まず、「カトリック元町教会」があります。赤い屋根と塔屋の風見鶏が印象的な建物ですが、内部が見事です。度重なる火災のお見舞いに、ローマ法王ベネディクト15世から贈られたという豪華な祭壇を見ることができます。ローマ法王から贈られた祭壇は、日本で唯一の物だそうです。撮影は不可ですが、内部の見学はできますので、自身の目で実物を見てみてください。

カトリック元町教会

カトリック元町教会

 

次に、アイヌ語の「おじいさん(チャチャ)」に由来する坂道「チャチャ登り」(おじいさんのように腰を曲げないと登れないような急な坂)を左手に見ながら進むと、ロシア風ビザンチン様式の美しい「函館ハリストス正教会」が見えてきます。塔屋を眺めてみると、環境省の「残したい日本の音風景100選」にも選ばれた鐘楼の鐘と、日本では珍しい「八端十字架」(はったんじゅうじか、ロシア正教などでよく用いられる十字架)を確認することができます。この教会は国の重要文化財にも指定されていますが、こちらも見学はできます。なお、今回ご紹介した教会については基本的に見学はできますが、礼拝時など行事によっては見学できないこともあります。しかし、たとえ見学できなくとも、外観だけでも素晴らしいと思います。

函館には見どころが他にもありますが、美しい街並みや、歴史のある教会、西洋の影響を受けた建築物に興味のある方は、ゆっくり街歩きに興じるのはいかがでしょうか。