イングランドの緑なす湿地へ2【上河原献二】
2016年10月12日(水) 02:00更新
第二は、南イングランドのサザンプトン郊外のブリアムーア(Breamore)湿地内のラウンド(Round)池です。
まず現地で保全活動をされているハンプシャー・ワイト島野生生物トラスト(HIWWT)のビジター・センターで、同トラスト職員のゴアさん(Madam Gore)とチャッターさん(Madam Chatter)からお話をお伺いしました。国立公園などに指定されている地域内で貴重な動植物も生息するラウンド池で、2009年にオオバナミズキンバイが発見されました。当初、手作業や除草剤によって除去を試みたもののうまくいきませんでした。そこで専門家に相談して、池を完全に浚渫してその泥を近くの農地に埋めることにしたのです。法律上の手続や貴重な動植物の保護などを行った上で、浚渫工事は2015年になされました。それで、ラウンド池のオオバナミズキンバイは根絶されました。ただ、今2016年夏になって池から下流200メートルほどのところで小さなオオバナミズキンバイの群落が見つかったのです。そこで、今、更なる対策の検討がなされているそうです。
ビジター・センターでお話をお伺いしたのち、ゴアさんが親切に私たちをラウンド池まで自動車でご案内してくださいました。その地域は、ニューフォレスト(New Forest)国立公園に指定されていて、生け垣のある牧場、紫がかったピンクのヒースの茂み、放牧されている馬・牛・ロバたちを見ることができるイングランドらしい田園景観を見ることができました。
どちらの現場も、有能で熱心な自然保護団体が保全している場所であったことが不幸中の幸いといえるでしょう。イングランドで大変親切にしていただいた専門家の方々に心から御礼もうしあげます。
撮影:上河原献二
イングランドの緑なす湿地へ1【上河原献二】