伊吹山フィールドワーク「地域自然再生の現場」【高橋卓也】
2019年08月27日(火) 12:03更新
滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山は標高1,377m、日本の神話にも登場する霊峰―人びとから信仰されてきた山です。かつてヤマトタケルノミコトが伊吹山の神(『古事記』では白い大イノシシ)と戦ったとされています。滋賀県立大学キャンパスからも眺めることができます。新幹線の車窓から見た方もおられるのではないでしょうか。先日、7月28日(日曜日)、フィールドワーク授業の一環として受講生と山頂部を訪れました。
※ 2018年1月頃に撮影。左側山並みのすぐ下に見える水面が琵琶湖、中央やや左のうすいだいだい色の建物群が滋賀県立大学の講義棟です。
フィールドワークのテーマは「地域自然再生の現場」です。このフィールドワークはフィールドワークⅢという選択科目です。フィールドワークⅠ(1回生)、フィールドワークⅡ(2回生)がそれぞれ必修科目であるのに対し、自主的に興味のあることについてさらに深めることのできるフィールドワークです(フィールドワークのウェブサイトにリンク<http://www.ses.usp.ac.jp/fw/index.html>)。伊吹山山頂では、お花畑の貴重な植物をシカが食べることが問題になっています。シカ対策などによる自然再生のため伊吹山入山協力金を徴収しています。
集めたお金でシカの対策柵設置などをしています。
このフィールドワークをご一緒に担当している環境生態学科の野間先生から、柵を設置してもシカはちょっとした破れ目から入ってきて貴重な植物を食い荒らすことなどを草原の状況、獣道を見ながらうかがいました。
このフィールドワークでは、今回の訪問の後、この伊吹山や長浜市余呉町での焼畑による山の管理、長浜市西浅井町山門(やまかど)水源の森での湿地・里山管理といったそれぞれの「現場」で、自然再生に携わっている方々のご協力を得て、自然再生をどう進めていけばよいか、自分たちの手でデータ・情報を集めながら考えてもらいます。
伊吹山は、環境政策・計画学科の卒業論文でも、山野草・イヌワシの保護、入山協力金制度などの調査フィールドとしてお世話になってきたところです。(歴代卒業研究論文一覧へリンク<http://depp-usp.com/archives/2517>)今年度のフィールドワークでは、どのようなことが見つけられるでしょうか。
フィールドワークの後のお楽しみです。下り道で少しひざが笑うようになりました。自分へのごほうびということで、伊吹山の駐車場で販売の薬草ソフトクリームをいただきました(写真のクリーム先端部はがまんできずに撮影前に舐めてしまいました)。
実は、伊吹山は薬草でも有名です。今回のフィールドワークも生物資源管理学科の原田先生ご担当のフィールドワークⅢ「琵琶湖周辺の有用植物資源の探索」にご一緒させていただきました。同先生、そして植物種同定でご指導いただきました滋賀県立琵琶湖博物館の石田様に改めてお礼申し上げます。