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オランダの自然再生事業-のどかで美しい島【上河原献二】

2017年10月02日(月) 10:43更新

自然再生事業をご存じですか。失われた自然を復原しようとする事業です。欧米では1990年代に入ってから盛んに行われるようになりました。日本でも2002年に自然再生推進法ができました。滋賀県では、琵琶湖北湖の旧早崎内湖の干拓地の一部を湿地に戻す事業が行われています。

本2017年9月4日に、私は、オランダで自然再生事業の現場を訪ねました。オランダは、ご存じのように干拓によって国土を拡大してきた国です。そのオランダでも自然再生事業が行われているのです。その最大のものが、今回ご紹介するティンハーメッテン(Tiengemeten)島の事業です。
オランダ南部には、ライン川などが集まる河口部に三角州や島が拡がっています。その中の全長7㎞、幅2㎞ほどの平らな小島が、ティンハーメッテンです。
元々は農村でしたが、農業が振るわなくなり1997年に自然保護区として買い取られました。今、島を管理しているのは、「天然記念物」(Natuurmonumenten)という環境保全団体です。管理計画に基づいて、土地を掘削して、湿地に戻す作業がおこなわれました。のどかで美しい島の湿地は、多くの水鳥の生息地となっています。また、島はレクリエーションのために開放されています。

その美しい島で課題となっているのが、侵略的外来植物です。琵琶湖で大繁茂して問題になっているオオバナミズキンバイの近縁種(Ludwigia peploides)が2012年に見つかったのです。分布している場所を土ごと削り取って穴に埋める対策が進められています。おかげで、大繁茂からは免れ、分布は一部に限られています。
オランダで美しい島における自然再生事業を見て、その事業を進めている方々にお会いできました。そして侵略的外来植物オオバナミズキンバイの近縁種の侵入が課題となっていて、対策の結果、分布を押し込めることに成功していることを学びました。
今回は、環境保全団体「天然記念物」の職員であるヴィッターヘン(Withergen)さんと二人のボランティアの方が私を案内してくださいました。記して感謝します。

島の自然再生構想図

島の農作業用の馬

島の湿地と案内くださったヴィッターヘンさんとボランティアの方々

島で見たLudwigia peploidesの花オオバナミズキンバイより小ぶり