ネパールでのミステリー【村上一真】
2021年12月06日(月) 11:01更新
先月の井手先生のコラム「バイカル湖ミステリーツアー?」に触発され、ネパールとカンボジアでのミステリーな体験を書きます。ずっと以前のコラムに書いたと思うのですが、大学3年生が終わった時点で1年間休学し、4か月バイト、8か月放浪の旅に出ました。その時に行ったネパールとカンボジアでの出来事です。(20年前の話をよく記憶しているなぁ、と井手先生の記憶力に感心しきりです。僕の話も20年以上前の話ですが、記憶は超曖昧です)
ネパールとインドを何度も行き来する人には、インドからネパールに入るのを天国だ!、と言い、ネパールからインドに行くのを地獄だ!(と言いつつも何か嬉しそう)、と表現する人が多かったです。バックパッカーはバスで国境を超えることが多いので、特にインドのヴァラナシやカルカッタ(コルカタ)という強烈な都市とネパールのカトマンズとでは、バスを降りた瞬間のギャップが凄まじいのです。厳密には降りた瞬間というよりも、北上あるいは南下するにしたがって、徐々に自分の中の緊張度合が変化していきます。インドでは常に緊張を強いられるのですが、ネパールはすごく緩やかです。カトマンズは首都なので旅行者も多く、外国人旅行者に慣れた人達も多いため、それなりの緊張はありますが、やはりインドの比ではありません。特にネパールのポカラは楽園です。いわゆるヒッピー的な人たちがたくさんいました。天国の中の楽園、という位置づけは変ですが、もしヴァラナシからポカラに直接行ってしまうと、人間がダメになりそうな気がするほどです。カトマンズを経由して慣らす、のがよいと思います。
ポカラからはトレッキングができます。ヒマラヤの8000m級の山々を見ながら、3000m級の山に登れます。1泊か2泊か忘れましたが、写真のようにトレッキングに行きました。朝日を見るということで早朝の写真です。さすがに寒かったので、寝袋カバーを巻き付けています。カメラは持参していないので、他の旅行者に撮ってもらったのだと思います。アホなアジア人がいる、ということで撮られただけの気もします。おそらく、ポカラに戻ってその人に写真を貰ったのだと思います。
ネパールでのミステリーは、1泊目の山小屋のような宿泊施設でのことでした。個室がいくつか空いていて、どこか選べ、と言われたので、じゃあ〇号室、と伝えました。そうすると従業員何人かが、Oh~、という感じで何か嬉しそうでした。まぁ、これもあとから考えれば、という後付け的なことの気もしますが。
結果、夜中に金縛りにあったということ、ポカラに戻って他の旅行者にこの話をすると、その山小屋のある部屋では必ず金縛りにあうということ、トレッキングで事故死した人の霊だと言われていること、というミステリーな体験です。金縛りは霊的なものではなく、睡眠のエラーとして科学的に解明できる現象ということを知っていたので、金縛りの瞬間は、強行軍すぎた疲れだな、と思いました。
が、やはり今でもあれは睡眠のエラーではない気もしています。夜中に不意に目が覚めて、部屋の前の廊下を左側から誰かが歩いてくる気配がして、こんな山奥で真っ暗な中でちょっと変だなと身構えている中、その気配がすっと部屋の中に入ってきて、急に体が動かなくなって、目の前に何かが現れたと思ったら、急に体がドンと重くなって、苦しいと感じる時間が続き、、、気づいたら朝でした。トレッキングから戻って、ポカラで何人にも同じ話をしたので、話は盛っていない形でちゃんと記憶できています。うーん、ミステリーだ。ちなみに写真左下に映っている人物は何の関係もありません。多分。
話は突然に変わって、ポール・マッカートニーの体調不良のため中止になった2014年のチケットを見つけました。コラムのネタになるデジタルの写真が見つからなかったので、現像された普通?の写真を探していたところ、先のトレッキングの写真ととともに出てきました。通常は払い戻しをするのに、手元にあるということは払い戻しをしていない。しかも結構高い。おそらく、最後の来日になるものだったかもしれない→記念に払い戻さずに持っておこう、という考えだったと思います。ありがちですが、その後、何度か来日コンサートがありました。
井手先生のコラムの最後「出発まであえて目的地を知らせない,または到着するまで目的地がわからないようにする旅行のことを“ミステリーツアー”と呼ぶそうだ.では,目的地も途中の乗り換え地点もわかってはいるが,乗り換え地点に到着するまで,次の乗り換え地点にどう行くのかがわからない,チケットも持たされていないような旅行を何と呼べばいいのだろう?」については、マジカル・ミステリー・ツアー、と名付けるのがよいでのは?、と提案します(The Beatles, 1967年)。ネパールでのマジカル・ミステリーの話が長くなったので、カンボジアでのミステリー・ツアーの話はまた次回に。