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立山黒部アルペンルートから黒部ダムへ【和田有朗】

2018年04月02日(月) 02:42更新

昨年の夏、黒部ダムに行きました。黒部ダムは日本最大級の水力発電ダムで、戦後日本の急速な経済成長により関西の電力不足となった際に建設されたダムです。黒部ダムがあるのは富山県東部の中部山岳国立公園内で、3,000m級の高山地帯として知られる北アルプスの中央部分となる立山町です。ほぼ富山県と長野県の県境に位置しており、富山県の立山から入る方法と長野県の大町から入る方法がありますが、今回は富山県の立山から入りました。

まず、立山駅(標高475m)から立山ケーブルカーに乗車し、美女平(びじょだいら)(標高977m)へ向かいます。標高差およそ500mを7分かけて一気にのぼります。平均勾配24度の坂を2台のケーブルカーがつるべ式で上り下りする仕組みになっています。

次に、美女平から弥陀ヶ原(みだがはら)(標高1,930m)を通り、室堂(むろどう)(標高2,450m)へ高原バスで向かいます。約1,500mの標高差の大自然の変化を楽しむことができます。全員着席制なので、快適に車窓の風景を楽しむことができます。車内に設置されたモニターからは、見どころの解説ビデオが流れます。所要時間は50分程度です。高原バスは美女平から室堂までの間で1回途中下車ができるので、弥陀ヶ原で途中下車しました。ガキ田(がきた)も見られる湿原の中に敷かれた木道を散策できます。立山では、湿原の中にある小さな池を山岳信仰の歴史から地獄に落ちた餓鬼(ガキ)が飢えをしのぐために作った田んぼになぞらえて「ガキ田」と呼んでいます。弥陀ヶ原には約3,000のガキ田があるといわれていますが、現在は乾燥化が進みつつあり、数が減ってきているそうです。散策後、また高原バスに乗車し、終点が室堂駅です。公共の乗り物駅としては日本で最も高所にあたる駅になります。観光と登山の拠点であり、立山の登山口でもあります。そんな室堂は夏でも緑の山々に残る雪を見ることができます。そのため、夏に行きましたが、結構寒いので防寒具が必要です。秋には見事な紅葉が広がるそうです。立山には、みくりが池や地獄谷といった自然の観光スポットが充実しており、気軽に散策が楽しめるように遊歩道が整備されていました。標高2,450mの立山室堂平は、世界でも有数の豪雪地帯です。中でも室堂付近にある「大谷」は、吹きだまりになっているため特に積雪が多く、その深さは20mを超えることもあります。この「大谷」を通る道路を除雪してできる、高さ20mにも迫る巨大な雪の壁が「雪の大谷」と呼ばれ、毎年4月中旬~6月中旬にかけて、ダイナミックな雪の壁(Snow Wall)を歩くことができます。

室堂から黒部へは雄山(おやま)(3,003m)の直下を貫通している立山トンネルを走る立山トンネルトロリーバスで向かいます。最大の特徴は、石油燃料ではなく、電車線から電力の供給を受けて走る点です。所要時間は10分程度です。到着した大観峰(だいかんぼう)(標高2,316m)からは、黒部ダムが見下ろせます。大観峰からは、立山ロープウェイで黒部平(くろべだいら)(標高1,828m)へ向かいます。所要時間は7分程度です。大観峰と黒部平の間には一本も支柱がなく、動く展望台として360度の大パノラマを楽しむことができます。大きく取られた窓から、西には大斜面の大観峰、東には後立山連峰の絶景が広がります。黒部平からは、黒部ダムへの最後の乗り物(黒部ダムから長野方面には関電トンネルトロリーバスがあります)である黒部ケーブルカーで黒部湖(標高1,455m)へ向かいます。標高差約400m、最大勾配31度の急斜面を走るケーブルカーです。自然保護と雪害防止から、日本で唯一の全線地下式ケーブルカーとなっています。所要時間は5分程度です。黒部湖駅からは徒歩で黒部ダム(標高1,470m)へ向かいます。立山駅から5台の乗り物を乗り継ぎようやく黒部ダムに到着したところですが、黒部ダムについては、次回のコラムで続きを書きます。

立山駅→黒部ダムのルート

大観峰から黒部平へ向かう立山ロープウェイ

参照:https://www.alpen-route.com/model_course/recd_tateyama/course03.html