先輩の声
●2021年度修了 鵜飼研究室 朝比奈遥さん
1.どういうことに興味があり(問題意識),どんな研究をしましたか。
わたしは大学入学時から、地域コミュニティを中心としたまちづくりに興味がありました。近年地域コミュニティが衰退し、住民同士や地域そのものとの繋がりが希薄化しています。そこから派生して起こる「生きづらさ」、育児や介護疲れ、孤独感などは、居場所づくりや地域コミュニティの再生・創造を通して改善できるのではないかと考えています。そして、地域の方々が周りの現状に関心・課題意識を持ち、課題解決に向けて自分たちで動いていくことが、持続可能なまちづくり・地域コミュニティに繋がると考え、大学院では、まちづくりワークショップにおいて、住民の主体性がどのように育まれるのかについて研究しました。
研究対象にさせていただいた地域では約2年間、各集落の代表が集まって地域の魅力・未来を考える会議が毎月開催され、毎回参加させてもらいました。参加者の 方々の生の声を聴き、記録して、その変化を探っていきました。
2.大学院に進学したことでよかったこと,身に付いたことを教えてください。
大学院に進学したことで、現場を知る大切さを学ぶことができました。学部生の時よりもまちづくりの先進地に足を運ぶ機会が増え、椅子に座っているだけでは得られないことをたくさん学びました。また研究を通して地域の方々と交流する中で、まちづくりの魅力や難しさ、地域というものの意味を、言葉を超えて体感することができました。
修了後、研究でずっと関わっていたところで、地域おこし協力隊として活動を始めました。日々、現場にいなければわからないことがたくさんあると痛感しますし、大学院で学んだことを実践する機会が多いと感じます。大変なことはありますが、地域の方々の声が形となり、みなさんがまちづくり活動に参加・応援してくれていることが、大きな励みとなっています。今後も地域全体が元気に、笑顔になれるように尽力していきたいと思います。
●2020年度修了 瀧研究室 中村亮太さん
1.どういうことに興味があり(問題意識),どんな研究をしていますか。
防災・減災を軸としたまちづくりに興味があり、霞堤に関する研究を行いました。霞堤とは、堤防の一部区間に開口部を設け、上流側と下流側の堤防が二重になっている不連続な堤防です。洪水時には開口部から水を一時的に逆流させることで、下流に流れる洪水の流量を減少させる機能をもっています。このような機能を知らない人からすると、穴の開いている堤防なんて危険だから早く閉じて欲しいと思うかもしれません。しかし、想定以上の洪水が増加傾向にある近年や将来的には、この霞堤の機能がとても重要になってきます。一人でも多くの人に霞堤について知ってほしい、そして一人でも多くの人を救いたいと思い、この研究を行いました。
2.大学院に進学したことでよかったこと,身に付いたことを教えてください。
大学院に進学したことで身に付いたことは、専門分野に関する知識や論文等を書く文章力などたくさんありますが、中でも最もよかったと思うことは、問題への対応力です。研究を進めていく上で、解決しなければいけない課題や乗り越える必要のある壁はたくさんあります。そうした問題に出くわした際、創意工夫を凝らして取り組むことで、問題への対応力を身に付けることができます。この能力は、私が就職した建設コンサルタント業界においても重要視されており、新入社員の過半数が修士課程を修めています。入社してからも、もちろん大変なことは多いですが、大学院で身に付けた能力を活かして社会に貢献しようと日々奮闘しています。
●2014年度修了 秋山研究室 薩摩かなえさん
1.どういうことに興味があり(問題意識),どんな研究をしていますか。
昔から環境問題全般に興味がありました。環境問題を少しでも減らすためには何が必要かと考えたとき、1人1人の意識や行動が大きく作用するのではないかと考え、環境問題の中でも特に、環境政策や市民参加、まちづくりに強い興味を抱くようになりました。環境基本計画と市民参加を大きな研究テーマとして焦点を当て、学部時代には市町村合併における環境基本計画の再策定時の市民参加について、大学院時代には環境基本計画の進行管理における市民参加について研究を行いました。研究以外の活動として、環境マネジメント事務所という環境サークルに所属し、生協のISO14001及び環境活動を行ってきました。
2.大学院に進学したことでよかったこと,身に付いたことを教えてください。
大学院に進学したことでよかったことは、学部の時よりも専門分野をより深く学ぶことができたことです。特に、私が修士1回の時に受講していた『近江環人地域再生学座』では、座学形式の講義はもちろん、実際に地域に出て、地域と連携し、地域課題を解決するための地域再生プロジェクトに取り組むという実践の場が与えられていました。そのため、座学と実践の両面から専門知識を学ぶことが出来ました。このことからも、自分の目で確かめ、自分の足で行動することの必要性が身につきました。
●2013年度修了 林研究室 王嘉陽さん
1.どういうことに興味があり(問題意識),どんな研究をしていますか。
気候変動に対応するために、世界各国は積極的にカーボンニュートラルに向けて動き出すようになっています。中国は世界最大のCO2排出国であり、一次エネルギー消費のうち約6割を石炭に依存し、化石エネルギーによるものが80%以上を占めます。化石エネルギーの大量消費とともに、SO2やNOXをはじめ様々な環境負荷物質が排出されています。そのため、私は再生可能エネルギーの導入による中国エネルギー構造改革に注目し、研究しました。特に、風力と太陽光発電の分野では中国の技術力と生産能力が優れているが、普及促進政策に不足が存在しているため、まだ普及に様々な課題を抱えています。
2.大学院に進学したことでよかったこと,身に付いたことを教えてください。
大学院に進学してよかったことは、より高度な勉強をできることです。専門知識の勉強はもちろん、産業連関分析や共分散構造分析などの分析手法を学ぶことです。特に、環境分野の課題を研究している際に、政策制度,歴史,企業経営,電気系統,機械システムなど様々な分野の知識が必要となります。環境科学研究科では各分野の先生から幅広く勉強でき、よりスムーズに研究できます。学術研究の世界に魅力を感じ、卒業後に私は研究者の道を選びました。現在、大学教員として研究しながら教育活動を行っています。
●2014年度修了 鵜飼・増田研究室 周玲瓏さん
日本のコミュニティ・カフェについて興味を持っており,大学院では日本のコミュニティ・カフェの経営の継続性に関する研究に取り組みました.コミュニティ・カフェに関する文献調査や滋賀県内の現地調査を行い,日本のコミュニティ・カフェは経営上厳しい状況になっていることが分かりました.
大学院生活の2年間は,専門知識はもちろん,日本語能力,日本の文化等も学び,たくさんの方の協力をいただいて修士論文を完成させることができました.私にとって滋賀県立大学はとても魅力的な学びの場でした.
●2016年度修了 鵜飼•増田研究室 後藤彰俊さん
1.どういうことに興味があり(問題意識),どんな研究をしていますか。
近年,日本では,少子高齢化,過疎化が進み,東京などの大都市に人口が集中し,地方は衰退に向かっています.特に,中山間地域などの条件不利地域はそれが顕著に現れています.私はそういった地域に対して総務省が行っている地域おこし協力隊制度というソフト事業の人的支援について研究を行っています.この制度において,隊員は,一定期間,地域に居住して地域ブランドや地場産品の開発•販売•PR等の地域おこしの支援や,農林水産業への従事,住民の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら,その地域への定住•定着を図ります.私は,地域によって受け入れ体制や活動内容も様々なため,まずは協力隊の活動プロセスを整理しています.
2.大学院に進学したことでよかったこと,身に付いたことを教えてください。
大学に進学してよかったことの一つはひとのつながりです.副専攻の近江環人では,社会人と大学院生で授業を行うことで,幅広い世代の価値観を聞く事ができました.またフィールドワークが多いため,学外にでることが多く,様々な場所で地域の人たちと交流することができました.今まで紙面でしかしらなかった問題を,生の声を聞くことで,地域の実情を把握する事ができたことも有意義でした.
また,修士論文や授業を通して様々な視点でみることの大切さを学びました.地域というフィールドでは,地域住民の視点,行政目線,NPO目線など様々な立場の人々が関わるため,複合的な視点をもつことが求められていることに気づかされました.