ふりかえって気づく“環境社会計画の魅力”
【学科紹介-OBの声- OBの方へ】 komeno@2010/04/28
第9期卒業生 新玉 拓也
滋賀県立大学(以下.県立大)を卒業して早いもので3年が過ぎようとしています。県立大と私との出会いは、“環境社会計画”という聞きなれない名前に惹かれ、オープンキャンパスに行ったのが始まりです。もともと自然や環境に興味があったので、半分自然公園や農場といったようなキャンパスは大変魅力的でした。そして、環境社会計画専攻(以下.社会計画)のコーナーでは、フィールドでの活動写真や地域のシステム図など、興味深いものがたくさん並んでいました。高校3年生の当時、ほとんど受験のための勉強しかしていなかったので、大学ではこんなおもしろいことを勉強するんだと思ったのをよく覚えています。社会計画では、環境に関する充実したカリキュラムが組まれていましたが、そのつながりや重要性に気づくのは、卒業研究が終盤にさしかかるころ、あるいは卒業して社会に出てからかもしれません。今ふりかえって思う社会計画の魅力について、私の体験をもとにお伝えしたいと思います。
環境科学部の講義の特徴的なものとして「環境フィールドワーク」があります。発電所や博物館、伝統的な水利用が残っている地域など、実際のフィールドに出てディスカッションなどを行います。現場を自分の目で見て、体験するというのは、問題解決において欠かせないことです。はじめは遠足のような気分で受講していましたが、レポートや発表を繰り返すうちに、自ずと考える力が養われていったように思います。そして、このような作業をひとりで行わなければならないのが卒業研究です。
私の場合、テーマとして琵琶湖の環境保全に関わる行政や市民の連携を取り上げました。毎週のように現場に通い、次第に自分もスタッフのひとりとして関わるようになりました。そうすることにより、現場の課題もわかり研究の方向性も定まってきました。そこでは、河川行政から農業、まちづくりや魚類の生態学的な研究など多くの分野が入り混じっていました。そこではじめて、社会計画のカリキュラムの意味に気づきました。法律(環境法)、統計(応用統計学)、生物学など非常に幅広い分野の講義があったのも、問題解決のために物事を多角的な視点で見る訓練、あるいは何かの分野に本格的に取り組む際の基礎知識だったのだと思います。社会計画の先生方の熱心な指導により、“現場で自ら行動し考える”という意識をしっかり持つようになりました。
卒業研究や市民活動など社会に出るようになると、いたる所で先輩方の活躍を耳にします。私も琵琶湖博物館うおの会という琵琶湖の魚類の調査・保全を行う団体に入っていましたが、多くの先輩方が中心メンバーとして活躍していました。卒業研究でいろいろな団体や機関にヒアリング調査に行った際も、県立大というだけで快く受け入れてもらえました。いずれも、以前に調査や研究で県立大生と関わったことがある、卒業生が働いているなど、多くの先輩方のご活躍の積み重ねがあってのことだと思います。
最近では、地域再生やまちづくり、生態系の保全など、県立大の取り組みが新聞やテレビなどで取り上げられることも多くなっていると思います。仕事の合間に日経新聞を読んでいると、「近畿の主要大学を対象にした『大学ブランド偏差値ランキング』において、『地域産業に貢献』という項目で滋賀県立大学が1位」という記事がありました(平成21年12月10日付日経新聞)。県立大が力を入れて取り組んでいることが社会でも評価されており、とてもうれしい気持ちになりました。私も県立大の卒業生として恥ずかしくないよう、地域に貢献できるようなことをしていかないといけないなと思いました。
卒業後も社会計画で学んだことを意識し続けることで、自身の活動の幅も広がりました。大学院に在学していた2008年には「第三期琵琶湖河川レンジャー(国土交通省琵琶湖河川事務所の委嘱)」に任命され、河川行政と住民をつなぐコーディネーターとして活動を行いました。また、このように大学で身につけたことを自分が生まれた町も還元したいと思い、地元でも魚の保全や環境教育に関連した活動を行うようになりました。その結果、三重県亀山市でも、環境関連の委員や地球温暖化防止計画の策定に関わることになりました。その時期に設立した市民団体「魚と子どものネットワーク」は就職してからも活動を続け、ライフワークとなっています。
ふりかえってみれば、朧げながらもいろんなことを学んだ講義、叱られながらも必死に取り組んだ卒業研究が今の自分の基礎になっているなと思います。現在は一般企業に入社したばかりで、仕事については何も言えませんが、目的を達成するために仮説を設定して取り組むということは、研究でも仕事でも共通のことだと思います。仕事で嫌なことがあったときは、川と魚でつながった琵琶湖の仲間がいるということを支えに乗り越えていきたいと思います。












